みちのく いとしい仏たち
《山神像》岩手県八幡平市 兄川山神社
近世、上方や江戸でつくられた端正な仏像が、本尊として空間荘厳や教義の象徴の役割を果たしてきた一方で、小さなお堂や祠、家庭の神棚や仏壇に祀られた木像がありました。儀礼のためというよりも、日常のささやかな祈りの対象として、北東北 ― みちのく ― のあちこちで生きのびてきた木像のなかには手や足を欠いたものも少なくありません。本展では、日本美術や仏教美術の枠では語ることのできない、こうした素朴でやさしい表情の木像の造形と信仰について考えます。