タピオ・ヴィルカラ 世界の果て イメージ

タピオ・ヴィルカラ 世界の果て

2025年4月5日(土) - 6月15日(日)

休館日
月曜日(ただし5/5、6/9は開館)
開館時間
10:00 - 18:00
※金曜日は20:00まで開館
※入館は閉館30分前まで

Exhibition Overview 展示概要

フィンランドのモダンデザイン界で圧倒的な存在感を放つタピオ・ヴィルカラ(1915-1985)の日本初回顧展です。1940年代後半から1950年代にかけて、イッタラ社のデザインコンペ優勝やミラノ・トリエンナーレのグランプリ受賞によってヴィルカラは一気に脚光を浴びました。デザインのフィールドはガラスのほかに磁器、銀食器、宝飾品、照明、家具、グラフィック、空間まで広くおよびます。数多くのドローイングやプロトタイプを重ね、あらゆる素材に向き合い、触覚と視覚を鋭く働かせて生みだす洗練されたフォルムはヴィルカラの作品の見どころです。
セラミック・アーティストの妻ルート・ブリュック同様、ヴィルカラはラップランドの静寂をこよなく愛し、生命の神秘や大自然の躍動から得た着想は、「ウルティマ・ツーレ」(ラテン語で「世界の最北」を表す言葉)をはじめとする名作を誕生させました。また、神話をモチーフにしたガラスのオブジェや、自ら開発した積層合板「リズミック・プライウッド」を用いたオブジェ、土や風すら味方につけるランドアートには、プロダクト・デザイナーとは異なる表現者の顔をのぞかせます。
本展は、エスポー近代美術館、タピオ・ヴィルカラ ルート・ブリュック財団およびコレクション・カッコネンから厳選したプロダクトやオブジェ約300点に加え、写真やドローイング(複写)を展示します。デザイナー、彫刻家、造形作家としての、繊細にしてダイナミックなヴィルカラの魅力に迫ります。

《カンタレッリ》1946年 Collection Kakkonen.
© Rauno Träskelin

《リントゥ(鳥)》1975年 Tapio Wirkkala Rut Bryk Foundation Collection / EMMA – Espoo Museum of Modern Art. © Ari Karttunen / EMMA

タピオ・ヴィルカラ、1980年代 © Maaria Wirkkala. Tapio Wirkkala Rut Bryk Foundation Collection / EMMA – Espoo Museum of Modern Art

Sections 章立て

ヴィルカラへの扉

ヘルシンキのオフィスにあった愛用品や、作品の着想源になったものなどを紹介します。

ヘルシンキのオフィスの扉、1974年 Private collection. © Ari Karttunen / EMMA

素材のすべてを知る

ガラスや磁器のテーブルウェア、シルバーやステンレスのカトラリー、商品のボトルやパッケージ、機内用のプラスチック製食器、照明や家具、ゴールドのアクセサリー、紙幣やグラフィックにいたるまで、ヴィルカラは異なる言語を巧みに操るかのように、あらゆる素材であらゆるものを手がけました。約200点を一堂に並べ、プロダクト・デザイナーとしての彼の仕事を振り返ります。

《カルティオヤルカ》1956年 Tapio Wirkkala Rut Bryk Foundation Collection / EMMA – Espoo Museum of Modern Art. © Lilja Oey / EMMA

《リーフ・ディッシュ》1950年代 Tapio Wirkkala Rut Bryk Foundation Collection / EMMA – Espoo Museum of Modern Art. © Ari Karttunen / EMMA

心のよりどころ

1960年代、ヴィルカラはフィンランドの最北地ラップランドのイナリにも居を構え、ここで心身を休めながら仕事に向き合いました。静寂と孤独のなかで研ぎ澄まされた感覚は、重要な作品の誕生にもつながりました。ヴィルカラが使用した道具やセラミック・アーティストの妻ルート・ブリュックがラップランドをイメージしてデザインしたテキスタイルなどを展示します。

プーッコでパンを切るヴィルカラの手、1970年代 © Pirjo Honkasalo. Tapio Wirkkala Rut Bryk Foundation Collection / EMMA – Espoo Museum of Modern Art

造形の園

神話性を帯びたガラスのオブジェや、積層合板の木目を活かした有機的な造形、そして金属や木による鳥の像には、プロダクトとは異なるヴィルカラの自由な表現や制作姿勢が見られます。繊細にしてダイナミックなフォルムの競演を楽しんでいただきます。

《シェル(巻貝)》1956年 Tapio Wirkkala Rut Bryk Foundation Collection / EMMA – Espoo Museum of Modern Art. © Ari Karttunen / EMMA

《スオクルッパ》1975年 Tapio Wirkkala Rut Bryk Foundation Collection / EMMA – Espoo Museum of Modern Art. © Ari Karttunen / EMMA

ヴェネチアの色

ガラス制作の長い歴史をもつヴェネチアのムラーノ島において、ヴィルカラは1960年代半ば以降、ガラス工房ヴェニーニの職人らと協働制作を行いました。ヴェネチアン・ガラス最大の魅力である多彩な色をふんだんに採り入れた作品を紹介します。

《ボッレ》1967年 Tapio Wirkkala Rut Bryk Foundation Collection / EMMA – Espoo Museum of Modern Art. © Ari Karttunen / EMMA

世界の果てへ

ヴィルカラが多くの時間を過ごしたラップランドで、溶けおちる氷に着想を得て生みだしたのが「ウルティマ・ツーレ」のガラスシリーズ。最終章では、約300個のガラスのインスタレーションと、全長9メートルにおよぶ同名の木彫レリーフのデジタル映像によって、彼が追い求めた世界の果てのイメージに近づいてみます。

《ウルティマ・ツーレ(ドリンキング・グラスのセット)》1968年 Tapio Wirkkala Rut Bryk Foundation Collection / EMMA – Espoo Museum of Modern Art. © Ari Karttunen / EMMA

すべてタピオ・ヴィルカラ作
© KUVASTO, Helsinki & JASPAR, Tokyo, 2024 C4780

Information 基本情報

入館料
一般(当日)1,500円 高校・大学生(当日)1,300円
一般(前売)1,300円 高校・大学生(前売)1,100円
  • *中学生以下無料
  • *前売期間は2025年3月1日から4月4日まで、オンラインチケットで販売
  • *障がい者手帳等持参の方は入館料から200円引き(介添者1名は無料)
  • *学生の方はご入館の際、生徒手帳・学生証をご提示ください
チケット購入
オンラインチケット購入(別ウィンドウで開きます)

[チケット販売場所]

  • *事前にオンラインチケットをご購入いただくと入館がスムーズです
  • *サービス券や会員証のご提示で割引をご希望の方は、美術館でチケットをご購入ください。ただし混雑時は入館をお待ちいただく場合があります
主催
東京ステーションギャラリー[公益財団法人東日本鉄道文化財団]
企画協力
エスポー近代美術館、タピオ・ヴィルカラ ルート・ブリュック財団、ブルーシープ
特別協力
イッタラ
後援
フィンランド大使館、フィンランドセンター
協賛
T&D保険グループ