本研究では、交通結節点徒歩圏域での歩行空間整備レベルの評価のためのツールの開発を目標とし、既存の機器を組み合わせた評価のツールを用いて、具体的なケーススタディを通じて歩行空間整備レベルの評価を試みた。 機器の機能整理と関連研究のビューをもとに、歩行経路に関する機器面での課題、解析手法面での課題について、実際の調査を行いながら、論点を整理した。機器の開発自体は、既存の機器の活用と組み合わせを基本とし、具体的なケーススタディの実施を通して、評価ツールとしての意義と課題を整理した。 駅構内のケーススタディでは、消費カロリーのライフコーダーによる計測と、経路の空間整備の結果生じる通行者が感じる負担感をもとに、経路を評価する方法論を、首都圏での適用を通して開発した。駅構外に関しては、行動目的が多様化することの影響を受けるため、それらを踏まえた計測の必要性を確認することができた。 機器の工夫として試みた、自転車への振動計の据付は、特に段差を含んだ経路の形状を高い精度で再現することができることがわかった。そして振動計による計測結果をGIS上に展開することにより経路の整備状況の評価を視覚的に捉えることができることもわかった。 以上を総括すると、消費カロリー、上下移動量を計測することで、駅構内のような閉鎖的な空間の評価を行うことができ、それに経路の空間形状に関する情報と個人の直接的な評価を組み合わせることで、空間整備の評価ができる。駅構外の場合には、歩行経路の利用目的が多岐にわたり、空間整備状況で、段差のような観点が加わることから、GPSおよび振動計を組み合わせたかたちで測定し、また評価に際しては、GISを活用することで、多面的な考察が可能となる。GPSに関しては、高層ビルの林立する都心部での適用や、地下通路やビル内通路を伴う空間での評価には適さないが、そういう空間において特別な配慮をすることで対応できる。 |