華麗な彫刻を施した屋台が巡行する鹿沼今宮神社祭の屋台行事。全国でも珍しい白木彫刻白木造屋台をはじめとする重量感ある彫刻屋台が今宮神社へ繰り込み、そして繰り出す豪快さは多くの人々を魅了しています。
また、祭りの呼び名にもなっている「ぶっつけ」は、道で向かい合った屋台が勇ましくお囃子を競い合うもので、その熱気は祭りの大きな見どころになっています。今回の舞台では、その「意気」と「力」がぶつかり合うようなお囃子の競演をお楽しみいただけます。
鹿沼今宮付け祭りの成り立ち
付け祭り(つけまつり)とは、祭礼の際、山車(だし)や神輿の巡行に合わせ、踊りや芝居、雑技を演じるものをいい、その舞台としての屋台も含まれます。
当初、鹿沼今宮付け祭りは簡単な踊り屋台の上で踊りや狂言を演じるものでしたが、時代とともに華やかになり、黒漆塗、彩色彫刻で飾られた屋台で、踊りや歌舞伎狂言(芝居)が演じられるようになっていきました。
しかし、文政(1827)・天保(1841)の両改革によりい「祭礼は質素に、在郷芝居は禁止」されたため、人々は屋台を飾ることに力を入れるようになりました。ここに日光三社寺の豪華な彫刻の影響も加わって絢爛豪華な彫刻屋台が完成し、付け祭りは彫刻屋台での囃子演奏となり、今日に引き継がれています。
祭囃子(まつりばやし)
鹿沼今宮付け祭りの囃子は江戸の祭囃子の流れを汲むもので、「江戸ばか」「昇殿」「神田丸」「鎌倉」「四丁目」を一括りとした五段囃子が打ち囃されます。江戸の祭囃子は、江戸葛西領の代官が土地の若者に健全な娯楽を与えるべく、神楽の囃子を改変して創作した『葛西囃子』がはじまりとされています。遠い昔、若者たちを熱くさせた祭囃子を彷彿させる、勇壮な鹿沼今宮付け祭りの囃子。その激しい演奏は江戸っ子も顔負けの勇ましさです。 |