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財団が助成する交通関係の調査及び研究の成果を論文要旨でご紹介しています。 |
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助成番号 |
98_4_2_18 |
研究テーマ(和文)
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19世紀イスタンブルとオスマン帝国の鉄道駅舎建築研究 |
研究テーマ(欧文)
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Study on the Station Buildings in 19th Century Istanbul and the Ottomn Empire -Orient Express and Presentation of the City Images |
研究代表者
氏名 |
カタカナ |
アオキ ミユキ |
漢 字 |
青木 美由紀 |
ローマ字 |
Aoki, Miyuki |
研究代表者年齢 |
27 |
研究期間 |
1998〜2000年 |
報告年度 |
2000年度 |
研究体制 |
個人研究 |
研究代表者所属機関・職名 |
早稲田大学 大学院 文学研究科・博士課程 |
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※所属、氏名、年齢は助成対象決定時のものです。 |
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本研究の目的は、鉄道駅の建築様式が、その土地のイメージをどのように演出してきにか解明することである。その背景には、一般的に非西洋諸国にとって、鉄道の敷設は、政治的に近代化の過程の重要な要素であったこと。国民の日常生活に抜本的な影響を及ぼすものであり、近代化を具体的に理解するための教育的な役割も望まれたことなどがある。 |
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具体的には、まず第一章「オスマン帝国の鉄道敷設の歴史」で、オスマン帝国に鉄道が敷設された経緯を概観した。第二章「鉄道駅舎建築の様式:建築家による駅舎建築」では、ターミナル駅を取り扱った。イスタンブルのシルケジ駅、バイダルパシャ駅、エディルネのガラアアチ駅を例にとり、これらの駅で選ばれた建築様式が、オスマン建築史のなかで占める位置について論じた。第三章「ちいさな駅舎建築」では、イスタンブル近郊線トルコ国内での最古の鉄道であるイズミル・アイドゥン線およびイズミル・カサバ線、そして現ブルガリア国内のルセ・ヴァルナ鉄道の駅舎を例に、ちいさな駅舎建築の特徴について詳述した。第四章「忘れられてしまった駅舎建築」では、廃線になってしまったブルサ・ムダンヤ線とキャーウトハーネ・ケメルブルガス・アーチル・チフタラン線をとりあげ、駅舎建築の現状を含めて記述した。 |
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その結果、オスマン帝国の駅舎建築は、鉄道史という観点からだけでなく、建築史からみても、建築として時代を反映した多くの問題をはらんでいることがわかった。オスマン帝国の駅舎建築は、オスマン建築史という地方的なカテゴリーからだけでなく、西洋、そして非西洋世界を含む「世界建築史」という枠組みからも、これから位置づけてゆく必要のある新しい題材である。 |