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財団が助成する交通関係の調査及び研究の成果を論文要旨でご紹介しています。 |
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助成番号 |
98_3_2_7 |
研究テーマ(和文)
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情報提供機能にもとづく都市鉄道施設のあり方 |
研究テーマ(欧文)
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Finding Information on society in railway stations and carriages. |
研究代表者
氏名 |
カタカナ |
カトウ タカアキ |
漢 字 |
加藤 尊秋 |
ローマ字 |
Kato, Takaaki |
研究代表者年齢 |
27 |
研究期間 |
1998〜2000年 |
報告年度 |
2000年度 |
研究体制 |
個人研究 |
研究代表者所属機関・職名 |
東京工業大学 大学院 社会理工学研究科・助手 |
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※所属、氏名、年齢は助成対象決定時のものです。 |
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本研究は、情報所得源としての鉄道施設の特徴を、他の都市施設やマスメディア、ネット等の通信メディアと同列の視点から明らかにすることを目的とした。まず、1999年1月から3月までの主要3紙の新聞投稿を分類した結果、ネットを情報取得源とした投稿が極めて少ない一方、都市空間にもとづくものが1割ほど見られた。内訳としては、街角、鉄道施設、店舗、共用施設が多く、鉄道施設は店舗とほぼ同程度の引用数であった。一方、1980年以降の日常生活を描いた随筆921編における鉄道施設の引用率は、男性作家全体では仕事の集まりやテレビと同程度であり、街角や店舗に比べて低かった。女性作家全体ではさらに低い引用率であった。しかし、各情報源別に社会や人に関する一般的な言及の割合を求めると、男性社会全体では他の都市施設やマスメディア等と比べて鉄道施設の核当率が顕著に高かった。女性作家全体でも、都市施設に比べて高く、テレビや新聞と同程度以上であった。つまり鉄道施設には、このような話題に興味を集中させる特徴があると思われる。 |
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次に、鉄道車内での情報取得行動に関して、車内で会話を漏れ聞くことに注目した。携帯電話およびインターネットを使いこなす大学生14名について、一週間のうちに鉄道車内できく会話、またその内容について感じたことを記録させた。この結果、通信メディアを使いこなす上記被験者においても、依然として車内で会話を漏れ聞くことが社会や面識のない他者について知るきっかけとなることが示された。また、少数ではあるが、車内の会話が根拠となり、ネットの特徴をより広い社会の中に位置づける事例が見られた。このことは、ネット上の事柄を相対化し、より広い視点から捉え直す場として、鉄道車内などの都市空間が大事な役割を果たす可能性を示している。 |
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このように、本研究では鉄道車内が、社会や人に関する一般的な知識を得るという点でマスメディアや他の都市施設と比して同等以上の役割を果たしていることを明らかにし、通信メディアが普及した場合でもその役割は低下しないとの示唆を得た。 |