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財団が助成する交通関係の調査及び研究の成果を論文要旨でご紹介しています。 |
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助成番号 |
97_4_1_12 |
研究テーマ(和文)
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日本中世社会における旅の時空(クロノトポス) |
研究テーマ(欧文)
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On space-time of travel in Middle Ages of Japan. |
研究代表者
氏名 |
カタカナ |
ダイキ ナオヒコ |
漢 字 |
大喜 直彦 |
ローマ字 |
Daiki, Naohiko |
研究代表者年齢 |
36 |
研究期間 |
1997〜1997年 |
報告年度 |
1998年度 |
研究体制 |
個人研究 |
研究代表者所属機関・職名 |
本願寺史料研究所・助手 |
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※所属、氏名、年齢は助成対象決定時のものです。 |
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歴史学研究は社会史の導入で、大きな転換期をむかえている。この状況の中で、従来日本を農耕社会とし、定着民を主流と考える見解も、近来日本社会では遍歴・漂泊民も大きなウエイトを占めていた等と提起されている。このような状況に配慮し、旅研究の問題点の確認や研究の方向性を決定した。特に実施に際しては隣接諸科学(国文学・民俗学・地理学等)の成果も積極的に取り上げた。 |
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現在の旅の研究は、遍歴性と非農業民(芸能民・宗教者・商人等)の関係、旅人と異人との関係、旅姿・所持品等の研究がメインになされている。そこでまず(1)遍歴民の研究を中心に行なった。そして旅研究の基本的資料たる紀行文の分析から、時間と空間の問題や名所、人の認識等の問題=旅の周辺部の研究の必要性を感じた。そこで次には(2)旅の周辺的な研究(時間・空間や名所)を行った。 |
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そこで、本研究では、国際観光旅行に不可欠な交通施設整備計画に資することを目的に、1)海外観光旅行発生量の国内地域格差の分析、2)海外観光旅行の目的地選択の国際地域格差の分析、3)海外旅行需要の将来動向分析、4)海外旅行と国内旅行の競合関係の分析、5)外国人旅客誘致における交通政策の史的考察、6)観光振興政策に関する考察などを行った。 |
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(1)については、対象に真宗開祖親鸞を取り上げ、旅人との関係で親鸞の遍歴民としての姿を視点に置き、親鸞画像と東国末寺の由諸書を利用し、親鸞の「異人」性や「異人」に対する在地の信仰等を考察した。また親鸞と同様遍歴する蓮如(本願寺8世)も研究し、新たな研究の視点を指摘した。 |
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(2)については時間と空間、名所の成立、人のイメージを中心に研究を行った。時間・空間と旅とは不可分な関係であり、旅の研究の前提にはまず時間・空間の研究が必要である。この課題については、時間の多様性や非均質性を明らかにした。また旅と名所の成立も不可分な関係にあり、ここでは存原成平と承久の乱で鎌倉幕府方に処刑された中御門宗行を事例に研究した。名所は近世になり成立するが、その前提には未知なる世界に旅立つ旅人が、先人の跡を追体験することで安心感をえることや、死んだ者の場所へ赴き鎮魂することがあった。その先人の跡・鎮魂の場所を繰り返し旅人が尋ねることで、やがて(特に近世)名所化する考えた。 |