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財団が助成する交通関係の調査及び研究の成果を論文要旨でご紹介しています。 |
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助成番号 |
97_3_2_17 |
研究テーマ(和文)
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海外旅行と国内旅行の国内地域格差と将来動向 |
研究テーマ(欧文)
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Regional disparity of overseas and domestic tourist demand in Japan |
研究代表者
氏名 |
カタカナ |
モリチ シゲル |
漢 字 |
森地 茂 |
ローマ字 |
Morichi, Shigeru |
研究代表者年齢 |
53 |
研究期間 |
1997〜1998年 |
報告年度 |
1998年度 |
研究体制 |
共同研究 |
研究代表者所属機関・職名 |
東京大学 大学院 工学系研究科 社会基盤工学専攻・教授 |
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※所属、氏名、年齢は助成対象決定時のものです。 |
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社会の成熟期を迎えた現代において、観光・レクレーション需要はますます増加すると考えられている。新しい全国総合開発計画の中でも、1)誇りの持てる国土の再構築、2)中山間地の振興、3)地域の国際化、という3つの課題に対応する重要なテーマとして「観光」に大きな役割が期待されている。このような観光をとりまく環境の変化に対応すべく、適切な量と質の施設の拡充が望まれている。中でも交通の果たす役割は極めて大きく、今後の観光に係わる交通施設整備には国際化を含めた観光交通の新たな動向を適格に把握することが不可欠である。 |
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わが国の観光旅行の需要発生状況にはいくつかの特徴がみられる。その1つは、国内地域によって観光旅行の実施回数や目的地の選択行動に差がみられることである。特に海外旅行において顕著であり、大都市と地方都市との格差が大きい。海外旅行を志向するか国内旅行を志向するかなどの旅行パターンにも地域格差が少なからずある。このような需要特性は将来にわたって変化しないとは断定できず、むしろ地方都市在住者もいつかは大都市と同程度の海外旅行をするようになると考えるのが妥当である。しかし、これまでの将来需要予測手法では、過去の地域別あるいは個人属性別の需要構造が将来にわたって変化しないことを前提としたトレンド予測が一般的であり、将来の国際旅客需要動向およびそれに基づく国際空港設備政策を見誤ることもあり得る。 |
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そこで、本研究では、国際観光旅行に不可欠な交通施設整備計画に資することを目的に、1)海外観光旅行発生量の国内地域格差の分析、2)海外観光旅行の目的地選択の国際地域格差の分析、3)海外旅行需要の将来動向分析、4)海外旅行と国内旅行の競合関係の分析、5)外国人旅客誘致における交通政策の史的考察、6)観光振興政策に関する考察などを行った。 |
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その成果としては、次の点を挙げることができる。1)海外旅行の需要定着過程は成長曲線に従うことを定量的に明らかにし、地域格差構造を解明できた。2)成長曲線を地域別、個人属性別、目的地別にあてはめ、これまであまり議論されてこなかった海外観光旅行需要の国内地域格差構造の変化を前提とした需要動向分析を行うことを可能にした。3)これにより地域における需要の顕在化の時期を把握できることを示した。4)海外旅行と国内旅行の競合関係は、観光地の集客市場においては存在するが、個人の旅行発生行動では競合していないことを定量的に明らかにできた。 |
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以上の成果は今後の航空・空港政策や旅行振興政策に新たな示唆が与えられる方向のものと考えられる。 |