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財団が助成する交通関係の調査及び研究の成果を論文要旨でご紹介しています。 |
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助成番号 |
97_1_1_11 |
研究テーマ(和文)
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分散型国土形成に伴う旅客・貨物運送によるエネルギー消費・環境影響の変化と鉄道の役割 |
研究テーマ(欧文)
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The Effect of Decentralization on Transport Energy and Environmental Impact: the Role of Railways |
研究代表者
氏名 |
カタカナ |
スズキ ツトム |
漢 字 |
鈴木 勉 |
ローマ字 |
Suzuki, Tsutomu |
研究代表者年齢 |
32 |
研究期間 |
1997〜1998年 |
報告年度 |
1998年度 |
研究体制 |
個人研究 |
研究代表者所属機関・職名 |
筑波大学 社会工学系・講師 |
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※所属、氏名、年齢は助成対象決定時のものです。 |
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本研究では、分散型国土形成が旅客・貨物輸送におけるエネルギー消費やCO2排出にどのような影響を与えるかについてモデルを作成して定量的に分析を行い、省エネルギーや低環境負荷のための人口配分政策の方向性を導くとともに、鉄道の果たす役割を定量的に検討した結果、次のような結論が得られた。 |
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1.我が国における旅客・貨物輸送の実態を、輸送量・エネルギー消費量・CO2排出量の面から経年的に把握し、自動車依存へのシフトが輸送部門全体のエネルギー消費量の増加に大きく寄与していること、旅客部門における高い鉄道分担率が先進国の中でもエネルギー効率の高い輸送を実現していること、逆に貨物部門では自動車依存度が高く鉄道の役割は小さいことが明らかとなった。 |
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2.発生・集中輸送数推定モデル、分布輸送数推定モデル、エネルギー消費・CO2排出算出モデルの3つのサブモデルで構成される人口配分−エネルギー・環境負担モデルを構築し、地域人口配分の輸送に伴うエネルギー消費やCO2排出量に対する影響を計量可能にした。このモデルを用いて、四全総におけるブロック別目標人口を想定したケース [1] (2000年全総)、社会保障・人口問題研究所による将来推計人口に基づく2000年、2010年、2025年の都道府県別推計人口であるケース [2] (2000年推計)、ケース [3] (2010年推計)、ケース [4] (2025年推計)について、エネルギー消費量・CO2排出量の変化を算出したところ、ケース [1] では1990年レベルの7〜8%増、ケース [2] 〜 [4] でも漸増し、2025年では6〜8%の増加(一人当たりでも8〜10%の増加)になることが明らかとなった。このような分散型国土形成は、エネルギー消費量やCO2排出量を増大させる方向に働くことがわかった。 |
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3.上記のモデルをベースとして、CO2排出量を最小化する人口配分を求める最適人口配分モデルを非線形計画問題として構築し、最適人口配分が、可住地の容量が許す限り、幾つかの県に人口が極端に集中したパターンとなることがわかった。この結果から、人口を集中させる方向が省エネルギー・環境負荷低減につながると考え、現在の人口密度が全国平均レベルよりも高い都道府県に人口をより集中させるような人口配分、ケース [5] (1995年集中)を設定し、エネルギー消費量・CO2排出量を計算したところ、10%以上の削減が可能であるという結果が得られた。人口既集積地へのさらなる人口集中を推進する方向でのアクティビティ・コントロールが、既成の鉄道交通基盤の有効利用を促進し、環境影響を軽減するための重要な政策オプションであることが明らかになった。 |