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財団が助成する交通関係の調査及び研究の成果を論文要旨でご紹介しています。 |
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助成番号 |
95_1_7 |
研究テーマ(和文)
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近代ツーリズムの生成と外客誘致策 |
研究テーマ(欧文)
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The Formation of Modern Japan's Tourism and the Policy Attracting Foreign Tourists. |
研究代表者
氏名 |
カタカナ |
マルヤマ ヒロシ |
漢 字 |
丸山 宏 |
ローマ字 |
Maruyama, Hiroshi |
研究代表者年齢 |
42 |
研究期間 |
1995〜1996年 |
報告年度 |
1996年度 |
研究体制 |
個人研究 |
研究代表者所属機関・職名 |
京都大学 農学部・助手 |
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※所属、氏名、年齢は助成対象決定時のものです。 |
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本研究の目的は近代ツーリズムの生成プロセスを外発的及び内発的側面から実証的に明らかにすることにある。わが国が国際収支改善のため外客誘致政策を積極的に推進しようとしたのは明治30年代後半以降である。明治初期に不平等条約を締結し、四半世紀を経て、漸く明治32年7月に改正条約が施行され、列強諸国と対等の立場となる。明治38年の日露戦勝後は、一等国たらんと世界各国にアピールすることが政治的課題となり、外客誘致政策はその一環となり、国家的色彩を帯びる。外客誘致はまた経済的刺激をもたらすことにもなり、それは「観光」を通じて世界経済に日本が組み込まれる過程でもあったといえる。その契機はアメリカの大陸横断鉄道の全通(1869年)とスエズ運河の開通(同年)により、19世紀末葉に起こった世界漫遊旅行ブームが開国まもない日本に押し寄せてきたことに起因する。 |
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明治初期に来日した外国人達は行動が制限されていたが、旅行免状の交付を受け「内地旅行」をおこなった。この「内地旅行」を日本におこる近代ツーリズムの黎明ととらえる。さらに、明治32年の改正条約以降を国家的ツーリズムの台頭期とし、帝国議会での日本大博覧会の開催を契機として、その潮流が胎動する。国家経済的見地から国際観光事業を推進するという当初の目的は、組織作りにおいては達成(国際観光局の設置)されたものの、その事業にかかわる予算的措置が講じられなかったため、国際観光協会を新たに作らなければならなかったところに日本の国際観光事業展開の限界もそこにあったといえる。 |