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財団が助成する交通関係の調査及び研究の成果を論文要旨でご紹介しています。 |
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助成番号 |
95_1_3 |
研究テーマ(和文)
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都市交通における鉄道と自動車の総合関係の分析 |
研究テーマ(欧文)
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On the Interrelationship between road and railway in the urban transport |
研究代表者
氏名 |
カタカナ |
タケウチ ケンゾウ |
漢 字 |
竹内 健蔵 |
ローマ字 |
Takeuchi, Kenzo |
研究代表者年齢 |
35 |
研究期間 |
1995〜1996年 |
報告年度 |
1996年度 |
研究体制 |
個人研究 |
研究代表者所属機関・職名 |
東京女子大学 文理学部 社会学科・助教授 |
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※所属、氏名、年齢は助成対象決定時のものです。 |
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本研究は、特に道路交通と鉄道交通という代替的な交通手段に関する利用者の選択に関して発生する問題を、主に経済学的な観点から考察するものである。通常の交通政策においては、個々の政策立案者が個々のモードの交通問題に対して対症療法的な政策を取りがちであり、それがどのような問題を起こすかが、3つのパラドックスを指摘することによって示される。特に、Pigou-Knight-DounsのパラドックスとDowns-Thomsonのパラドックスが経済学の観点から分析される。それによって、道路混雑対策として道路投資という短期的な、あるいは近視眼的な政策が、結果として事態を改善しないばかりか、事態を悪化させることさえあるということを指摘する。ここに、政策担当者が単に個々のルートや個々のモードだけに注目するのではなく、交通ネットワーク全体を考慮に入れた広い視野から投資政策をはじめとする交通政策を行わなくてはならないことが示される。 |
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さらに本研究ではDowns-Thomsonのパラドックスに関して実証的な分析を行った。Downs-Thomsonのパラドックスが現実に存在するかどうかという検討に関しては必ずしも十分に行われてきているとは言い難い。特にDowns-Thomsonのパラドックスの存在に関して問題とされるのは、鉄道利用客の一般化消費用に関する社会的平均費用曲線が逓減するか、という問題である。この曲線の形状を探るために、鉄道利用客へのアンケートに基づいてデータの分析を行った。その結論として、鉄道利用客の一般化費用に関する社会的平均費用曲線は線型ではないが逓減することがわかった。このことはDowns-Thomsonのパラドックスの存在が否定できないことを示すものであり、今後の政策立案に関して一つの示唆を与えたものと思われる。Downs-Thomsonのパラドックスが存在する場合のパラドックスの一つの解消方法としては、鉄道利用客の一般化費用に関する社会的平均費用曲線を下方シフトさせることが考えられ、そのためには例えば鉄道企業に対する補助が考えられる。 |