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財団が助成する交通関係の調査及び研究の成果を論文要旨でご紹介しています。 |
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助成番号 |
01_4_2_8 |
研究テーマ(和文)
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交通社会資本整備プロジェクトの評価システムの制度設計に関する研究 |
研究代表者
氏名 |
カタカナ |
フクモト ジュンヤ
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漢 字 |
福本 潤也
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ローマ字 |
Fukumoto, jyunya
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研究代表者年齢 |
26
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研究期間 |
2001〜2003年
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報告年度 |
2003年度
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研究体制 |
個人研究 |
研究代表者所属機関・職名 |
東京大学大学院・助手 |
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※所属、氏名、年齢は助成対象決定時のものです。 |
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我が国では、ここ数年、非効率な公共事業への批判を背景に、費用対効果分析のマニュアル化が、建設省・運輸省を中心とした各省庁によって急速に進められた。今後の交通社会資本整備が限られた財源の中で効率的に実施されるためにも、費用対効果分析に代表される評価手法が社会的意思決定システムの中で果たす役割に対して、大きな期待がかけられている。しかしながら、現在の費用対効果分析をめぐる制度には、費用対効果分析を実施した分析者が分析に用いたデータを公表する義務が存在しないため、事業実施者にとって望ましい結果が出るような恣意的操作が行なわれている可能性を否定できないという問題がある。本研究では、今後の交通社会資本整備の評価システムの改善の方向性について検討することを目的とした分析に取り組んだ。
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分析結果から、以下の点が明らかになった。第一は、分析者の恣意的操作を抑止するための制度の代替案に次の5つが存在することである。すなわち、需要予測リスクの一部を分析者に負担させる方法、需要予測のパフォーマンスを相対評価する方法、業務発注確率を需要予測のパフォーマンスに基づいて定める方法、需要予測のリスクの一部を分析者に負担させる一方で事後的な再交渉も行う方法、恣意的操作の有無の監査機関を設ける方法、の5つである。第二には、プロジェクト評価における事後評価は分析者の恣意的操作を抑止するために友好な手段であり、その方法論としては、事後的に実現した社会的純便益を計測する方法と、事後的に実現した状態の事前需要予測確率を確認する方法の2種類が存在することである。 |
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本研究は理論研究をベースにしており、今後の具体的な制度設計に向けて残された課題も少なくないが、費用対効果分析における恣意的操作抑止という重要な課題に取り組み、上述の一定の成果をあげた点において当初の目的を達成したといえる。 |