 |
財団が助成する交通関係の調査及び研究の成果を論文要旨でご紹介しています。 |
|
|
|
|
助成番号 |
01_4_2_12 |
研究テーマ(和文)
|
清末民初における中国の鉄道建設と日本 |
研究代表者
氏名 |
カタカナ |
ジョ ソヒン |
漢 字 |
徐 蘇斌 |
ローマ字 |
jyo, Sohin |
研究代表者年齢 |
38 |
研究期間 |
2001〜2003年
|
報告年度 |
2003年度
|
研究体制 |
個人研究 |
研究代表者所属機関・職名 |
東京大学・外国人研究員
|
|
|
※所属、氏名、年齢は助成対象決定時のものです。 |
|
|
1.調査・研究の目的 |
|
鉄道建設事業は近代国家の建設にとって極めて重要な課題である。本調査・研究の目的は、大きく3つある。 |
|
(1)現在、中国の新幹線建設が日本の技術を導入して推進されようとしているが、鉄道建設の黎明期(清末民初)において、両国の間には、中国近代化の画期をなす技術交流が存在していた。しかし、その歴史的評価は、未だ十分になされてはいない。 |
|
(2)19世紀は、“機械と土木の時代”とも言われた。本研究は西洋における非西洋への影響が如何に進んでいるか、またアジア文化の複雑性の解明を試みした。 |
|
(3)歴史文化遺産の保存運動は既に世界的な動きとなっている。歴史文化遺産は建築遺産だけではなく、その範囲は産業遺産まで含まれる。本研究は中国の産業遺産の研究でもある。 |
|
2.内容構成 |
|
この研究は、清末民初初期、日本の鉄道技術者と中国との関係、留学生に巡って、大きく4つの部分に分かれている。即ち、T.清末中国南部鉄道の建設と日本、U.西洋人に雇われた日本人技師、V.路権回収後の日本人技師、W.中国人の鉄道留学、の4つの部分である。 |
|
3.結論 |
|
これまで、中国の鉄道史に関する研究では、「経済的な側面」を強調すると共に、関連する外交問題は「帝国主義」として片付けられ、そこでは、技術や技術者の問題は提起されてこなかった。しかし、植民地研究は複眼的に見なければならない。明治期の日本と同様に、中国の鉄道の建設初期にあっては、「技術的な側面」として外国人技師の存在が不可欠だったことも事実である。
その意味で、彼らは今日の中国鉄道の基礎を造ったと言えるのであるが、このことは、近代産業遺産におけるポスト・コロニアル問題としての性格を孕んでいる。 |
|
また留学生については、最初期工学留学の主流となったのは鉄道留学である。鉄道留学は中国鉄道建設の自立に繋がる原点となっている。 |