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財団が助成する交通関係の調査及び研究の成果を論文要旨でご紹介しています。 |
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助成番号 |
00_4_2_8 |
研究テーマ(和文)
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交通関連社会資本が地域経済に与える影響に関する実証的研究
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研究テーマ(欧文)
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Infrastructure, Transport Costs and Regional Growth : An Empirical Investigation |
研究代表者
氏名 |
カタカナ |
ナカザト トオル |
漢 字 |
中里 透
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ローマ字 |
Nakazato, Toru
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研究代表者年齢 |
33
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研究期間 |
2000〜2002年
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報告年度 |
2002年度
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研究体制 |
個人研究 |
研究代表者所属機関・職名 |
上智大学・専任講師
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※所属、氏名、年齢は助成対象決定時のものです。 |
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「交通関連社会主義と経済成長」(調査・研究報告1)
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本研究では、Krugman(1991)を契機とする新しい経済地理学の進展を踏まえつつ、交通インフラの整備が経済成長に与える影響について、日本の地域経済データをもとに実証分析を行った。本稿の推定結果によれば、地域間にインフラ(高速道路)の整備は経済成長に有意なプラスの成長を与えることが示されたが、これは、交通インフラの整備が、輸送コストの低下による市場規模の拡大を通じて経済成長にプラスの影響を与えるという議論と整合的である。交通インフラの整備は、地域間格差の是正等の政策目標を反映して政策的に決定されるが、インフラ整備に係る政策決定の内生性を考慮しても、定性的な結論は変化しない。地域間インフラが経済成長に与える影響は対象期間の後半に低下したが、これは、インフラ整備の進展に伴って、新設されるインフラの整備効果が低下することを示唆するものである。
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「都市再生の経済分析:都市集積と交通インフラの役割をめぐる考察」(調査・研究報告) |
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本研究では、収穫逓増に基づく内生的成長理論や新しい経済地理学の研究を踏まえつつ、都市集積と交通インフラの役割について、宮城県仙台市の事例研究をもとに考察した。仙台市の事例について言えば、消費面における都市集積はかなり充実してきているようであり、十分な都市機能を備えるのに必要な都市規模を満たしているように思えるが、雇用機会という点で集積はまだ十分とはいえず、この面から優秀な人材が県外へ流出してしまう状況をどのように変えていくかが課題として残されている。この事例をもとに今後の国土政策のあり方について議論すれば、東京の機能の一部を代替し得るような都市を形成するためには各地方ブロックにおいて、ブロックの中枢・中核となる都市に対して重点投資を行うことが必要であり、場合によっては各地方ブロック内における地域間格差の拡大がもたらされることも容認しなければならないかもしれない。このような格差が生じる場合には、各ブロック内の交通インフラの整備が重要な意味を持つことになる。交通インフラが整備されれば、ブロック内の中枢・中核都市以外の地域も、中枢・中核都市における集積のメリットを十分享受することができるようになるためである。また、全国的な交通インフラ(高速交通体系)の整備についても、このような中枢・中核都市における集積度の向上を念頭におきながら、対象を明確にして重点的な整備が進められる必要があるだろう。 |