♪汽笛一声新橋を……とはじまる『地理教育 鉄道唱歌』は、1900(明治33)年につくられるやいなや、一大ブームが巻き起こり、それを真似た鉄道唱歌も次々に発売されました。その後、鉄道の延伸や新しい技術の進展など、その時代に即して生まれた鉄道唱歌や旅客誘致の活動に合わせた歌も数々世に出てきました。
そして、戦時中の重苦しい時代を経て、1945(昭和20)年8月15日、太平洋戦争の敗戦を迎え、打ちひしがれ、喪失感で焼け跡にたたずむ人々は『リンゴの唄』を口ずさみました。そんな中で、NHKのラジオ番組から流れる三木鶏郎作詞作曲の『僕は特急の機関士で』は、それ以前の日本にはなかったような快活な曲調に乗せて全国各地を歌い、時代の気分を象徴しました。それは、社会に新風を巻き起こしたと言えるかも知れません。
その頃から、日本は高度経済成長へと助走をはじめ、世界を驚かせた東海道新幹線が1964(昭和39)に開業、ほぼ同時に東京オリンピックも開催され、旅にまつわる歌も多種多様になっていきました。
本展では“うた”と“鉄道”を通して、時代の一場面をご紹介いたします。
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