下田太鼓は、下田市の中心市街地(旧下田町)の各町に伝わる伝統芸能です。8月の八幡神社例大祭(通称下田太鼓祭り)と、6月に各町内で行われる「かげまつり」で奉納されています。殊に8月14・15日の二日間にわたり、若衆が太鼓台を引き、町内を練り歩く下田太鼓祭りは圧巻で、下田の夏の風物詩として親しまれています。下田太鼓の由来は、徳川時代初期の寛永年間、長く続いた戦国の世で荒廃した民の心の安寧を願って、下田奉行今村伝四郎正長公が町民に伝えたものとされています。大坂夏の陣で大勝した徳川軍が、大坂城入城の際に打ち鳴らした陣太鼓の打法を取り入れているといわれています。
「まるきた伝統空間」始まって以来の大物「太鼓台」が登場。
今回の公演で初めて舞台の横に登場した「太鼓台」。下田太鼓の象徴である下田奉行今村伝四郎正長像が飾られています。高さ4m重さ400kg、漆塗りされたけやき材で作られた車輪つきのもので、鳥居様の柱と横木を配してその鳥居から虎皮やビロードで美しく装飾された大きな太鼓が吊るされています。さらに祭では、各町内ごとに町名の由来などを示す人形などを華やかに飾り付けます。これらは夜になると提灯に付け替えられるそうです。 |
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受け継がれる下田太鼓の技と心意気。
下田太鼓の編成は、大小の太鼓、鉦、笛、三味線からなり、近年各地で盛んな組太鼓とは違った味わいがあります。太鼓を打ち鳴らす姿は颯爽としていて男らしく、力強さがあり、また三味線をはじめとした楽器とも息がぴったりで、会場はまるでお祭りに迷い込んでしまったかのような賑やかな雰囲気に包まれました。 |
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もっともっと子供たちに親しんでほしい。
後継者づくりやこれからの展望について、下田太鼓伝統保存会代表の倉田さんにお話を伺ったところ、「お祭りも昔のように夜通しやることもなくなり、せっかくの伝統文化に触れる機会も少なくなっています。」とのこと。学校も意向はあるが、なかなか実現は難しいのが現状だそうです。しかし、下田太鼓祭りになると子供たちが太鼓台を引いたりするなど、太鼓は人気があるので、少しでも下田太鼓に親しんでもらえる機会を増やせるようにしたいとおっしゃっていました。
下田太鼓伝統保存会の皆さんは、現在26人。普段は別のお仕事をしながら活動をされています。いろいろな町内の方々なので、今回のような公演がある時は、皆さんで集まって練習をされるのだそうです。下田太鼓祭り以外にも、様々な場所でイベントに参加されています。
下田太鼓の特色は、何といっても大きな太鼓台です。今回の公演では固定しての演奏でしたが、お祭りの際はこの太鼓台にすえられた太鼓を歩きながら叩くという豪壮なものです。また、伝統的な正調と小気味いいお囃子が楽しめるのも特色の一つです。
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