福富太郎(ふくとみ たろう/1931-2018)は、1964年の東京オリンピック景気を背景に、全国に44店舗にものぼるキャバレーを展開して、キャバレー王の異名をとった実業家です。その一方で、父親の影響で少年期に興味をもった美術品蒐集に熱中し、コレクター人生も鮮やかに展開させました。念願だった鏑木清方の作品を手はじめに蒐集をスタートさせますが、著名な作家の作品だけでなく、美術史の流れに沿わない未評価の画家による作品であっても、自らが良質であると信じれば求め、蒐集内容の幅を広げていきます。さらには、それに関連する資料や情報も集めて対象への理解を深め、美術に関する文筆も積極的に行いました。その結果、近代作家を再評価する際や、時代をふりかえる展覧会において欠かせない重要な作品を数多く収蔵することになったのです。これまで各地で開催された日本近代美術の展覧会に、福富コレクションから数多くの作品が貸し出されてきたことは、コレクションの質の高さと、福富太郎の見識の高さを物語っています。福富コレクションといえば美人画が有名ですが、本展は、作品を追い求めた福富太郎の眼に焦点をあて、美人画だけではない、類稀なるコレクションの全体像を提示する初の機会となります。鏑木清方の作品十数点をはじめとする優品ぞろいの美人画はもとより、洋画黎明期から第二次世界大戦に至る時代を映す油彩画まで、魅力的な作品八十余点をご紹介いたします。
福富太郎が生前、親しく交流していた山下裕二[美術史家・明治学院大学教授]が本展を監修。ポイントをおさえたテーマで、コレクションの流れを追い、コレクターとしての福富太郎の全貌に迫ります。
鏑木清方の代表作《薄雪》《妖魚》、異色作《刺青の女》など合計13点を紹介。
会場(および図録)では、福富太郎の作品に関する文章(抜粋)も紹介。
ご遺族により東京都現代美術館に一括寄贈された、戦時中に描かれた貴重な洋画コレクション100点の中から、宮本三郎、藤田嗣治などの作品5点を特別展示。
岡田三郎助の美人画の代表作《ダイヤモンドの女》に加えて、東京会場のみ現在はポーラ美術館の所蔵となっている福富の旧蔵品《あやめの衣》を特別出品。
入館時間枠は下記よりお選びください
※予約枚数に達し次第売り切れ【注意事項】