歴史と未来をつなぐ東京駅の美術館 | 東京ステーションギャラリー

坂田一男 捲土重来(けんどちょうらい)

会期:2019年12月7日(土)−2020年1月26日(日)

《キュビスム的人物像》1925年 岡山県立美術館

《キュビスム的人物像》1925年 岡山県立美術館

《コンポジション》1936年 個人蔵

《コンポジション》1936年 個人蔵

《アンサン》1954年 個人蔵

《アンサン》1954年 個人蔵

《コンポジションA》1948年 個人蔵

《コンポジションA》1948年 個人蔵

《コンポジションのエスキース》制作年不詳 個人蔵

《コンポジションのエスキース》制作年不詳 個人蔵

《コンポジション(メカニック・エレメント)》1955年 岡山県立美術館

《コンポジション(メカニック・エレメント)》1955年 岡山県立美術館

《静物T》1934年 大原美術館

《静物T》1934年 大原美術館

《静物U》1934年 大原美術館

《静物U》1934年 大原美術館

《コンポジション》制作年不詳 個人蔵

《コンポジション》制作年不詳 個人蔵

《構成》1946年 宇フォーラム美術館

《構成》1946年 宇フォーラム美術館

【休館日】
月曜日[1月13日、1月20日は開館]、12月29日−1月1日、1月14日(火)
【開館時間】
10:00 − 18:00
※金曜日は20:00まで開館
※入館は閉館の30分前まで
【入館料】
一般(当日)1,000円 高校・大学生(当日)800円
一般(前売)800円 高校・大学生(前売)600円
※中学生以下無料
※20名以上の団体は12/8〜1/17に限り、一般800円、高校・大学生600円
※障がい者手帳等持参の方は当日入館料から100円引き(介添者1名は無料)

[チケット販売場所]
東京ステーションギャラリー(開館日の閉館30分前まで)
ローソンチケット(Lコード=31473)、イープラスCNプレイガイドセブンチケットにて取扱い
※前売期間は2019年10月5日から12月6日まで
※東京ステーションギャラリー受付での前売券販売は11月24日までの開館日
【主催】
東京ステーションギャラリー[公益財団法人東日本鉄道文化財団]
【特別協力】
岡山県立美術館

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格納された世界のすべて、風景のすべて

日本では岸田劉生の画業がピークに達し、マヴォをはじめとする大正アヴァンギャルドがしのぎを削っていた1920年代、パリにおいて最新鋭の芸術潮流の只中で勇躍する日本人画家がいた。知る人ぞ知る突出した前衛画家、坂田一男を、当代随一の近代美術史研究者でもある造形作家、岡ア乾二郎が読み解きます。

絵画の潜勢力を解き放つ
絵画そして世界の巻き返し=再生

キュビスム以降の抽象絵画の展開を核心で理解し、その可能性を究極まで推しすすめた画家、坂田一男(1889-1956)。世界的にも稀有な高い次元に到達していた坂田一男の仕事の全貌を展示し、その絵画に織り込まれた世界の可能性をひもときます。
坂田一男は第一次世界大戦後の1921年に渡仏、同時代の抽象絵画と出会い、10年以上にわたってフランスで最前衛の画家として活躍しました。1933年の帰国後、故郷の岡山で制作に励み、また前衛グループ「アヴァンギャルド岡山」を結成し後進の育成にも努めます。
しかし坂田の仕事は生前・歿後を通じて岡山以外で大きく紹介されることはほとんどなく、忘却されていたといって過言ではありません。本展は、近代美術史を精緻に解析し、その可能性の再発掘と刷新に挑む造形作家の岡ア乾二郎氏を監修者に招き、〈現在の画家としての〉坂田一男の全貌を提示するはじめての展覧会となります。特に日本帰国後から戦後にかけての坂田の仕事の展開を国内外の作家たちと比較しつつ、20世紀絵画表現の問題群として読み解くセクションは、絵画の潜勢力を解き放つ機会となるでしょう。絵画そして世界の巻き返し=再生はまだ可能なのです。

坂田一男を解析する!
アクロバティックな取り合わせ

抽象芸術の具体的な力を体系的に説いた刺激的な近著『抽象の力』(2018)において、岡ア乾二郎があらためて焦点を当てた画家の一人が坂田一男でした。坂田は、通常は「背景」とみなされるような領域にボリュームを与え、それをさらに複数化して同時に折り畳む、という込み入った操作を実践していた画家だと岡アは言います。そしてその点においてこそ、同時代のヨーロッパの芸術家たちと問題を共有していたのだ、と。
坂田の複雑な空間操作を解析すべく、本展では坂田と同世代の画家や意外な作家たちを組み合わせて比較展示します。「ワシの絵は50年経ったら分かるようになる」とうそぶいたという坂田の死から60年以上が過ぎた今、精緻な分析者の目でその謎に挑みます。
出品作は約200点を予定。部屋を埋め尽くす圧巻の展示をご期待ください。

◇坂田一男以外の出品作家

フェルナン・レジェ、坂本繁二郎、ル・コルビュジエ、ジョルジオ・モランディ、ニコラ・ド・スタール、山下菊二、リチャード・ディーベンコーン、ジャスパー・ジョーンズ、若林奮

冠水からの復活

坂田一男のアトリエは海抜の低い干拓地にあり、1944年と1954年の二度にわたって水害に遭ったため、多数の作品が破損し、あるいは失われました。
まったくの同サイズ、モティーフもきわめて似通った同年制作の2点の《静物》は、水害の跡を物語ります。しかし剥がれ落ちた画面は、痛ましさのみならず凄みを感じさせるのもたしかです。坂田は冠水した作品に自ら修復を施し、加筆もしていたようです。そもそもなぜこんな双子のような作品を残していたのでしょうか?
そして坂田は、剥がれ落ちた跡を模すかのように、破れ目を思わせる線を描き入れた絵も制作しています。おそらく坂田は冠水の被害を、逆に創作に生かしたのです。
本展のタイトル「捲土重来」は、歴史に埋もれてしまった坂田一男という画家を掘り起こす意味であるとともに、ひとたび受けた破壊を復活に転化させるような驚くべき坂田の作品にも重ねています。

坂田一男(さかた・かずお、1889-1956)
医学者坂田快太郎の長男として岡山市に生まれる。当初医者を目指すも、中学卒業後ノイローゼの療養中に学んだ絵の道を志す。1921年渡仏。アカデミー・モデルヌでフェルナン・レジェに師事し、のちに助手を務める。滞仏中は複数のサロンの会員となり、国際展への参加やギャラリーで大規模な個展を開催するなど一線で活躍した。
1933年の帰国後は 倉敷市玉島のアトリエで生涯制作した。1949年には前衛美術集団「アヴァンギャルド岡山(A.G.O.)」を主宰した。日本の抽象画家の先駆者として高く評価されたのは没後であり、これまでの美術館の回顧展に、ブリヂストン美術館(1957年)、西宮大谷記念美術館(1976年)、倉敷市立美術館(1988年)、岡山県立美術館(2007年)がある。