横山華山

会期:2018年9月22日(土) - 11月11日(日)

【休館日】
月曜日[9月24日、10月8日、11月5日は開館]、9月25日(火)、10月9日(火)
【開館時間】
10:00 - 18:00
※金曜日は20:00まで開館
※入館は閉館の30分前まで
【入館料】
一般(当日)1,100円 高校・大学生(当日)900円
一般(前売)900円 高校・大学生(前売)700円
※中学生以下無料
※20名以上の団体は、一般800円、高校・大学生600円
※障がい者手帳等持参の方は当日入館料から100円引き(介添者1名は無料)

[チケット販売場所]
東京ステーションギャラリー(開館日の閉館30分前まで)
ローソンチケット(Lコード=33196)、イープラスCNプレイガイドセブンチケットにて取扱い
※前売期間は2018年7月14日から9月21日まで
※東京ステーションギャラリー受付での前売券販売は9月9日までの開館日

[リピーター割引]
本展の当日券か前売券の半券を受付にご提示いただくと、団体料金の金額でご入館できます。ご提示いただいた半券は回収します。他の割引との併用はできません。
【主催】
東京ステーションギャラリー(公益財団法人東日本鉄道文化財団)、日本経済新聞社
【協力】
日本航空
【協賛】
野崎印刷紙業

横山華山(1781/4~1837)は、江戸時代後期の京都で活躍した人気絵師です。彼は曾我蕭白(そがしょうはく)に傾倒し、岸駒(がんく)に入門した後、呉春(ごしゅん)に私淑して絵の幅を広げ、多くの流派の画法を身につけました。そして、諸画派に属さず、画壇の潮流に左右されない、自由な画風と筆遣いで人気を博しました。その名声は日本中に広がり、ほかの絵師たちにも大きな影響を与え、門人も抱えました。
華山は作品の画題に合わせて自由自在に筆を操り、幅広い画域を誇りました。本展は、華山の多彩な画業を系統立てて紹介する初めての回顧展です。そんな彼の本領を余すところなく伝える代表作のひとつ、《祇園祭礼図巻(ぎおんさいれいずかん)》も出品します。山鉾や神輿などの祭列を細かく描写する記録性、臨場感を与える構図、店先にいる人々までをも豊かに描き出した華山ならではの作品です。
華山の名は、没後しばらくは有名な書画家の一覧表に掲載されたり、夏目漱石の『坊ちゃん』に登場するなど、知られていたようです。また、フェノロサら海外の研究者やコレクターからも評価され、その優品が何点も欧米の美術館に収蔵されましたが、今や知る人ぞ知る絵師となっています。本展は、ボストン美術館や大英博物館といった海外に渡った作品も里帰りし、曾我蕭白や弟子たちの作品も含め会期中約100点の展示で、華山の画業とその魅力に光を当てようとするものです。

展示構成

蕭白を学ぶ -華山の出発点-
人物 -ユーモラスな表現-
花鳥 -多彩なアニマルランド-
風俗 -人々の共感-
描かれた祇園祭 -《祇園祭礼図巻》の世界-
山水 -華山と旅する名所-

【見どころ1】天才は天才を呼ぶ!

蕭白と華山がそれぞれ描いた《蝦蟇仙人図(がませんにんず)》をご覧ください。落款や印章を見ることなしに、どちらが蕭白の作品かわかるでしょうか。華山は若くして蕭白と比較し得るほどの才能を発揮していました。会場では貴重な優品を並べて展示し、二人の天才絵師の競演をご覧いただきます。

【見どころ2】海外から優品が里帰り!

明治時代初期に華山の優品は海を渡り、現在、ボストン美術館に13点、大英博物館に6点が収蔵されています。その背景には、フェノロサやビゲローらによって華山の作品が海外で評価されていたことがあります。ボストン美術館からは、縦3メートル、幅2メートルの蕭白風の大作《寒山拾得図(かんざんじっとくず)》をはじめ5点、大英博物館からは3点が里帰りします。うち7点が日本初公開です。

【見どころ3】その自由さからくる近代性を見よ!

同時代の伝統や形式を重んじる諸画派に比べ、自由な表現が華山の魅力です。たとえば《城州白河之図(じょうしゅうしらかわのず)》は、画面の真ん中に大胆に配置された大きな木に目が奪われます。正面から見た宝船という奇抜な構図の《宝船図》は、亡くなる2カ月前に描いた貴重な作品です。《富士山図》は、明治時代以降の作家の作かと見間違うような筆遣いです。《唐子図(からこず)へい風》に表現された人物の顔の陰影などは西洋風で近代的な画風を感じさせます。

【見どころ4】風俗画の細かな描写は華山の真骨頂。見ればわかる!

《祇園祭礼図巻》は、江戸時代後期の祇園祭の全貌を、上下巻約30メートルに渡って克明に描いた華山の集大成ともいえる壮大な絵巻です。上巻には宵山や山鉾巡行の前祭、下巻には2014年に50年ぶりに復活した後祭や、芸妓が練り歩く「祇園ねりもの」が描かれています。祇園ねりものは現在行われていない行事で、絵画史料として詳細に描かれているものは本絵巻しか確認されていません。祇園祭のハイライトである山鉾巡行を描く絵は他に多くありますが、巡行以外の行事や、鉾の懸装品・御神体から曳き手の人々の姿まで事細かに正確に描いた唯一の作品です。文政9(1826)年以来、200年近く休み山となっている鷹山が、現在、本絵巻を参考にして復興を目指す動きがあるなど、祇園祭の歴史を語るうえでも重要な作品です。
《紅花へい風》(10月14日まで展示)は、東北や北関東の紅花の産地を二度も訪れて取材し、制作された大作で、華山の最高傑作といっても過言ではありません。紅花栽培から収穫、加工品への生産過程までを正確に描いています。京都の紅花問屋による依頼品で、祇園祭のへい風祭で飾られて好評を博したといいます。

【見どころ5】貴重な資料を初公開!

蕭白と横山家の深いつながりが窺える「横山家宛書状」や、《祇園祭礼図巻》(上巻)の下絵であることが今回の調査で明らかとなった「祇園祭鉾調巻(ぎおんまつりほこしらべかん)」など貴重な資料を初公開します。同じく初公開となる「斎藤月岑宛書状(さいとうげっしんあてしょじょう)」は、斎藤月岑が『東都歳事記』の執筆にあたり、餅つきなど年中行事の挿図の校訂を華山に依頼したことに対する華山からの返信の書状で、今後の江戸文化史を語るうえでも必見の史料です。