北陸新幹線開業記念

交流するやきもの 
九谷焼の系譜と展開

The Genealogy and Development of Kutani Ware

会期:2015年8月1日(土)~9月6日(日)
August 1st , 2015 - September 6th , 2015

本年は、九谷の地に窯が開かれてから360年目の年にあたります。東京ステーションギャラリーでは、北陸新幹線開業を記念して、九谷焼の歴史をたどり、その展開を検証する展覧会を開催いたします。華やかで深みのある色絵磁器を大きな特徴とする九谷焼ですが、その歴史の中では、さまざまな試みが行われ、多様な表現が生み出されてきました。それに大きな刺激を与えたのが、九谷の地を訪れた作家たちや、各地の窯場との交流です。本展では、「交流」という言葉をキイ・ワードに、江戸初期の古九谷から、江戸後期の再興九谷、明治期の輸出陶磁、近代九谷の諸相、そして現代の作家まで、生活の中に息づき、時代の中で豊かな表現を創造してきた九谷焼の、多彩で魅力的な作品世界をご紹介します。

【休館日】
月曜日
【開館時間】
10:00 - 18:00
※金曜日は20:00まで開館
※入館は閉館30分前まで
【入館料】
一般900円 高校・大学生700円 中学生以下無料
※20名以上の団体は100円引き
※障がい者手帳等持参の方は100円引き、その介添者1名は無料
【主催】
東京ステーションギャラリー(公益財団法人東日本鉄道文化財団)
加賀九谷焼展実行委員会
読売新聞社
【特別協力】
加賀市/小松市/能美市/南加賀広域圏事務組合
【企画協力】
石川県九谷焼美術館/小松市立博物館/能美市九谷焼資料館
【協賛】
岡村印刷工業株式会社

チラシPDFはこちら

見どころ1 古九谷 その魅力と謎

古九谷の特徴はその色にあります。紺青、緑、黄、紫、赤の「五彩手」の華やかさ、赤を除く四彩で器を塗り埋めた「青手」の深みのある味わいは、古九谷の大きな魅力です。古九谷には多くの謎があります。古九谷の開窯が明暦元年(1655年)であることは定説となっていますが、伝世品中に有田製品が混入していることに起因する、産地は九谷か有田かという論争が続いています。この論争は今なお未決着ですが、古九谷窯の発掘成果などの発見や新知見もあり、新たな展開を見せています。また、古九谷廃窯の原因も諸説あり謎に包まれています。

見どころ2 再興九谷 吉田屋窯の名作群

古九谷は、江戸初期に半世紀ほど生産された後、制作が途絶えてしまいますが、江戸後期になって、京都から青木木米(あおきもくべい)を招聘するなど、古九谷を再興しようという機運が高まります。この中心となったのが吉田屋窯でした。五彩や青手の美しい色彩を甦らせ、さまざまな意匠を取り入れた名品が数多く生み出されます。また器形もヴァラエティに富み、豊かな作品世界が展開されました。

見どころ3 江戸のアール・ヌーヴォー? 粟生屋源右衛門の活躍

再興九谷の陶工として活躍した粟生屋源右衛門(あおやげんえもん)は、明るく透明感のある色彩と、ユニークな造形によって異彩を放っています。特に動植物をモティーフにした細工ものは、まるでアール・ヌーヴォーのガレのデザインを思わせます。ガレより半世紀以上も前に、こうした斬新な造形が九谷の地で生み出されていたことは、九谷焼の高い創造性を物語っています。

見どころ4 明治期の輸出用陶磁 繊細さと華麗さと

開国によって世界に開かれた日本では、欧米への輸出需要によって各地で地場産業が活況を迎えます。九谷でも、伝統の技術を生かし、輸出用の陶磁が作られました。西欧の趣味にも合うように作られた彩色金襴の華やかで大きな壺や、細字の超絶技巧を用いた作品など、熟練の技術によって数々の優品が生み出されたのです。彩色金襴の技術の礎を築いた九谷庄三(くたにしょうざ)の名品も紹介します。

見どころ5 九谷で制作をした名匠たち 波山、憲吉、魯山人

大正から昭和にかけて、多くの陶工たちが九谷の地を訪れ、制作を試みています。彼らは九谷焼のさまざまな技術を学び、それを自分たちの制作に生かしただけでなく、九谷焼の陶工たちにも大きな影響を与えました。中でも板谷波山、富本憲吉、北大路魯山人は、その代表的な作家たちと言えるでしょう。本展に出品される彼らの作品を見ると、九谷焼の世界の広がりを感じることができるはずです。

見どころ6 現代の九谷焼

生活スタイルが多様化した現代、九谷焼もそれにあわせて多様化し、さまざまな実験的な試みが行われています。本展では、現代の九谷焼を代表する存在として、三代徳田八十吉(やそきち)をとりあげます。古九谷以来の伝統の色彩を純化し、抽象的で洗練された調和を作り上げたその作品は、幻想的な光を放ち、九谷焼の新しい時代を告げるかのようです。