仙台
小松観音堂グラフィック制作事業

宮城県 大崎市

小松観音堂には、「木造千手観音坐像」及び「木造不動明王立像、木造毘沙門天立像」が東日本大震災で損傷するまで安置されていた。木造千手観音坐像は平安時代末期の12世紀後半の作とみられ、坐像はホオノキを使った寄せ木造りで、台座も含め高さ約1.9メートル。岩手県平泉町の中尊寺金色堂の仏像と作風が似ており、12世紀後半に中尊寺の仏像を造った仏師の作といわれる。仏像には珍しく、目は二重まぶたで、髪をたわませて結い上げる「結髪」が特徴である。

田尻地区の地域住民が仏像を守り続けていたが、平成23(2011)年3月11日に発生した東日本大震災で、観音堂とともに大きな被害を受けたことから、京都の(公財)美術院国宝修理所で修復、平成29(2017)年9月15日に「院政期における東北地方の仏像製作の様子を知る上で重要な遺品である。」との評価のもと、国の重要文化財に指定された。脇侍の木造不動明王立像、木造毘沙門天立像も附指定を受けた。この際、仏像を管理していた、お薬師様文化財保存会が任意団体であるため、管理することが出来なくなり、大崎市に仏像の管理を委託、令和2(2020)年10月28日より大崎市田尻総合支所観覧室へ安置することとなった。

このような経緯により、小松観音堂は仏像が無い状態となったが、現在も保存会中心に小松観音堂の保存活動を行っており、田尻地区の地域住民が守り続けてきた、「木造千手観音坐像」及び「木造不動明王立像、木造毘沙門天立像」を地域の宝であったことを後世に受け継ぎたいとの思いが強まっていった。そのような中、坐像が安置されていた現地を訪れる来館者が増え、その際、「どのように座していたのかイメージがつかない。」との声をいただき、保存会が思案しパネル作成を行う事になった。

今回の支援により、小松観音堂に安置していた「木造千手観音坐像」及び「木造不動明王立像、木造毘沙門天立像」の原寸大の自立グラフィックパネルを作成し、仏像の安置されていた場所に設置することで仏像の歴史、そして、小松観音堂を後世に残していく。

小松観音堂グラフィック制作事業 木造千手観音坐像、木造不動明王・木造毘沙門天立像
木造千手観音坐像、木造不動明王・木造毘沙門天立像
小松観音堂グラフィック制作事業 仏像の安置されていた場所
仏像の安置されていた場所
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