盛岡
舞川鹿子躍伝承事業

岩手県 一関市

岩手県内の鹿踊は、太鼓系鹿踊と幕踊系鹿踊の二種類が伝承されている。これらの鹿踊は、南部領と伊達領の藩境によって伝承地が区分され、太鼓系鹿踊は伊達領内、幕踊系鹿踊は南部領内に伝承されているが、藩境を越えて伝わったものもあり太鼓系鹿踊は藩境に近い南部領内に数多く伝承されている。

行山流鹿踊は、身に付けた太鼓を打ちながら歌い、その囃子に合わせて踊る太鼓系鹿踊である。現在は岩手県南部、宮城県北部を中心に分布している。旧仙台藩領で広まったといわれ、仙台藩主や一関藩主も好んで屋敷に招いて観賞していた記録がある。行山流舞川鹿子躍は太鼓踊系の行山(ぎょうざん)流に属し、始祖は千葉平九郎の師匠である本吉郡水戸辺村(現在の志津川町)の伊藤伴内持遠といわれる。元禄13(1700)年の由来書によると、相川村(舞川)の吉田猪太郎と七内兄弟が、本吉郡平磯村(現在の宮城県本吉町)の千葉平九郎から伝授されたのが始まりとされている。装束や演目は他の太鼓踊系鹿踊とほぼ同じだが、舞川は「土佐舞」「海の門中」を演じる数少ない団体で、土佐舞では、波のうねりを表現しながら太鼓を打ち、足さばきの妙味を見せる。

保存会は発足以来、地域の支援を受けて若い人に伝承しており、地域行事への参加や子供たちへの指導をとおして地域貢献に力を入れている。舞川小学校、舞川中学校の運動会披露のための指導のほか、「子供鹿子躍育成会」を発足させて地域の子供を指導してきた。また、早くから女性や地域外からの参加にも門戸を開いてきたため、現在は30代以下の会員が半数を超えており、活発な活動を行っているが、道具や装束の修理や新調が当保存会の課題である。

今回の支援により、破損の目立つ袴を新調することによって、古くから伝わる民俗芸能を末永く継承していく。

舞川鹿子躍伝承事業
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