盛岡
黒森神社本殿修復事業

岩手県宮古市

黒森神社は、江戸時代には「黒森山大権現社」などと呼ばれ、地元修験者(山伏)が修行する神仏習合の霊山でもあった。黒森神社の鎮座する黒森山が宮古湾での漁業や航海の当て山(目当て)となったことから、陸中沿岸地域の信仰を集めた。

現存する神社本殿は、嘉永3(1850)年に盛岡藩宮古代官所の差配により、代官所管内の村々や商人などが金品や木材を寄進して再興された。典型的な腰組付一間社流れ造で、箱棟2間四方、屋根は木造銅板葺き(もと栃葺き)で、千木・鰹木付きである。欄間や扉脇の雲竜彫、向拝柱の獅子鼻・像鼻など、精巧で堂々とした造りに美麗な彫刻を施し、岩手県沿岸部でも代表的な歴史的建造物と言える。

しかし、神社本殿は昭和9(1934)年に銅板葺きに改修されて以来、風雨雪害や経年劣化による損傷が重なり応急処置を重ねてきたが、2018年、文化財建造物木工主任技能者に診断で、屋根替えが必要と指摘を受け、今回の支援を活用して修復事業に取り組み、歴史ある建造物を後世に伝えて行きたい。

黒森神社本殿修復事業
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