八王子
東光寺木造薬師十二神将像修理事業

山梨県 甲府市

東光寺は法蓋山と号し、寺記によれば新羅三郎義光が1121(保安2)年に創建し、当初は興国院と号したと云う。その後鎌倉時代の文永年中に大覚禅師(蘭渓道隆)が当寺に入山し、密教から禅宗として再興した。16世紀代には甲府五山の一つとして武田家の庇護を受け、天文年中には武田信玄により、諸堂が再建され整備された。当時の住職藍田恵青は武田信玄の伯父にあたり、東光寺中興開山とされる。

当寺では1542(天文11)年諏訪頼重、1567(永禄10)年には武田信玄の嫡男義信が幽閉され当寺に墓所が営まれている。武田家滅亡時の織田信長の兵火、1945年の甲府空襲と二度の戦火にさらされながらも、県史跡の庭園、禅宗様式の重要文化財仏殿、仏殿内の木造薬師如来坐像と十二神将像など多数の文化財を所有している。

今回の修理対象の木造薬師十二神将像は、桧材で内刳のある寄木造で、玉眼を嵌め込む。像高は88.5cmの子神から82.5cmの巳神の間で、全体的にはやや小柄である。子神の頭部内面に弘長2(1262)年の墨書銘がある。

鎌倉時代の作成より750年以上経て、汚れ、彩色の剥落、部材の欠損など傷みが顕著であり、平成28年度から6年計画で、毎年2躯づつ修理が行われ、令和3年度が最終年度となっていたが、新型コロナウイルス感染症による影響等で財政が厳しく、今回の支援により、十二躯修理が完了させることにより、文化財としての価値を後世に伝えていく。

東光寺木造薬師十二神将像修理事業
東光寺木造薬師十二神将像修理事業 木造薬師十二神将像
木造薬師十二神将像
[閉じる]